学校薬剤師

学校薬剤師の誕生

「学校薬剤師制度」があるのは、世界各国の中でも日本のみで「児童・生徒の健全な発達」を目的として誕生しました。

明治31年には”学校医”、昭和6年には”学校歯科医”が設置され、児童・生徒の健康管理にあたってきました。学校には救急医薬品をはじめ実験に使う理科用薬品などがあります。
昭和の初期に保健室で昇汞(塩化第二水銀)を瓶に移し変えて置いていたところ、他の教師がそれを知らずに胃腸薬と思い児童に服用させ、死亡させるという痛ましい事件がありました。これがひとつの契機となって、学校における薬品の管理を指導する為の「学校薬剤師」が委嘱され、その後全国的に広がり薬剤師の新たな職能が誕生したのです。

現在、学校薬剤師は資格を有する人から教育委員会が任命(委嘱)します。
公立学校の場合は、地方公務員法の規定に基づく地方公務員特別職となり、学校薬剤師となります。

学校薬剤師が行う仕事(検査)

子ども達が安全で安心して快適に学校生活を送れるように、教室の環境を整えたり、飲料水やプールの水質検査等、いろいろな環境衛生検査を実施し適切な指導を行っています。

教室の採光及び照明検査 ※年2回実施

  • ・照明や黒板の見やすさ(照度検査)
  • ・騒音検査

飲料水の検査(10項目) ※年1回実施

  • ・水質検査
     PH値、大腸菌、一般細菌、過マンガン酸消費量、濁度、塩化物イオン、味、臭気、色度等の検査

その他

  • ・保健室など布団のダニアレルゲン検査(※年1回実施)
  • ・ネズミ、衛生害虫等の駆除

水泳プールの管理や検査 (※6・7・8月に月1回実施)

  • ・施設・設備の衛生状態(機械室及び更衣室)
  • ・プールの水質検査
     遊離残留塩素、PH値、大腸菌、一般細菌、過マンガン酸消費量、濁度、総トリハロメタン等の検査

臨時検査

    【あんなこと、こんなこと】

  • ・薬の正しい使い方、喫煙・飲酒防止、薬物乱用防止教室等を開催しています。(写真1)
  • ・小学校でインフルエンザが流行する前にマスクのつけ方、手洗い方法、うがいのやり方等を
     子ども達に指導しています。
  • ・理科クラブの実験(キャラメル作り、缶ジュースに入っているビタミンCの抽出実験)等
     にも参加し、子ども達と楽し みながらすすめています。(写真2)
  • ・飼育小屋を担当する飼育委員の子ども達の健康管理(衛生状態)にも注意を払っています。
  • ・騒音検査

【1つの検査の風景】
「ねぇねぇ、何やってるの?」
小学校で飲料水検査の為に、残留塩素の測定をしていると、休み時間に教室から出てきた子ども達に必ず聞かれます。
さて、その時あなただったら何と答えるでしょうか。
「みんなが毎日飲んでいるお水。そのお水が安心して飲めるかどうか調べているんだよ」
「それでわかるの?」
「あ!色が変わった。なぜ?」
子ども達の質問はきりがありません。子ども達が不思議に思うこれらの心と、素朴な疑問や質問に答える為にも中野区学校薬剤師会では年に数回の研修会を重ねます。
「ねぇねぇ、研修会ってどんなことやってるの?」
「う~ん、それはね・・・」

では研修会を始めましょう。

4月は春の月。新年度の始まり、始まり。ピッカピカの1年生が入学してくる月です。
薬剤師も気持ちを新たに、入学気分で校門をくぐります。
1年生も勉強が始まり、薬剤師も勉強(研修会)が始まります。

5月こいのぼりが空を泳ぐとき、やがてプールの香りがすぐそばに。
ホイ、ホイ、ホイと薬剤師の出番。私たちは水の見張り番。
きれいな水で泳げるように見守っています。水の健康守っています。

6月お日様ニコニコ、お友達みんなもニッコニコ。それもそのはず、プール開きの月です。

7月プールサイドの機械室『ウィ~ン、ウィ~ン』とモーター君のうなり声、子ども達の歓声とミックスされて大きな響きに聞こえます。

8月『暑いのにご苦労さまです』と薬剤師は言いました。『いえいえ、暑いからこそ頑張れるのです。寒いのは苦手ですから』とモーター君は言いました。

9月プール納め。プール納めは着衣泳。ぷかぷか浮くには工夫が必要、着衣泳。こんなに泳ぎがつらいとは、やってみなけりゃわからない。
夏が終わって、秋になっても研修会は続きます。

「そうか!研修会って勉強するところなんだね」
「そうそう、勉強をして子ども達が学校生活を楽しく、安心して過ごせるように薬剤師は学校の先生達と一緒に努力しているんだよ」
学校で学校薬剤師を見かけたら、気軽に声をかけてくださいね。